「将来の特定の費用又は損失で、その発生が当期以前の事象に起因し、発生する可能性が高く、かつ、その金額が合理的に見積もることができる場合には、当期の費用又は損失として、引き当てなければならない」と中小企業の会計指針では言っております。
主旨としては、正しい期間損益の把握と、将来のリスクの回避の為です。
■代表的な例は
1. 退職給与引当金
退職金規定に従って合理的な金額を見積計上します。
2. 賞与引当金
賞与対象期間が当期に属し、支払が翌期になるような場合に引き当てます。
3. 貸倒引当金
将来の貸倒れに備えて引き当てます。
4. 製品保証引当金
製品の保証をしているメーカー等が、今期の製品の売上に対して、翌期以降に保証に要する費用や損失を見積もって計上します。
5. 返品調整引当金
保証と返品の違いで、製品保証と同様の考えです。
■法人税法上は
会計上は、将来のリスクに対し様々な引当を要求されますが、税務上は「貸倒引当金」と「返品調整引当金」の2つしか損金算入は認めておりません。
税務上は原則、債務の確定していないものを損金としては認めません。上記2つの引当金も特別に認めているだけですので、従来認めていた「賞与引当金」や「退職給与引当金」のように、いつ認めないと言ってもおかしくありません。
■実務上は
会計指針に従い将来のリスクに備え引当金は計上し、税務上は自己否認すると言うのが理想ですが、多くの中小零細企業は税務基準で引き当てているのが現状です。