日本経済団体連合会はこのほど、2026年度の税制改正に関する提言を発表しました。法人税の税率引き上げに関し、国内投資や賃上げ機運にマイナスの影響を与えることを「強く懸念する」と表明。法人税をめぐり、ガソリン税の暫定税率廃止や高校授業料無償化などの代替財源としての増税案が浮上していることから「税率の引き上げは国内投資や賃上げにマイナスの影響を与える」と明記し、こうした動きを牽制しました。26年度からは防衛増税の一環として「防衛特別法人税」の課税がスタートすることも背景にあります。
経団連が示した提言では、これまで段階的に法人税率が引き下げられてきた一方で、度重なる税優遇制度の見直しや縮減などによって企業の負担は減っていないと指摘。法人税の税率は、いまだに主要国のなかでも高く、これ以上引き上げられると「(企業を誘致する)立地競争力が他国に比べ大きく劣後する」と強調しています。
日本の成長力強化には「研究力を強化し、イノベーションを創出していくことが不可欠」と指摘。人工知能(AI)など「戦略分野」に関する企業の研究開発(R&D)を支援する税制の拡充を求めました。「科学技術立国」の実現に向けて、イノベーション(技術革新)促進のために充てた費用の一部を税額から差し引ける研究開発税制の維持・強化を要望。企業が投じた試験研究費の一定割合を法人税額から控除できる「R&D税制」については、大企業の控除率を25年度末まで最大14%(基本は最大10%)とする特例の延長も求めました。特にAIや量子、半導体製造、データ利活用といった戦略分野では控除率などの拡大を求めています。
また、国内投資を積極的に行う企業に対し「他国に劣後しない大胆な設備投資減税措置」を検討するよう訴えました。国内投資を呼び込むため、投資にかかる費用のすべてを初年度に減価償却費として計上する「即時償却」や税額控除といった大胆な設備投資減税措置を講じる必要性を強調した内容となっています。
自動車関連税制では、クルマの購入時に燃費性能などに応じて課せられる「環境性能割」を廃止するべきだとしました。中長期の課題としては、クルマの保有にかかる「自動車税」「自動車重量税」を一本化するなど自動車関連税制の総合的な見直しを求めています。
<情報提供:エヌピー通信社>















