国土交通省はこのほど、「住宅税制のEBPMに関する有識者会議」の中間とりまとめを公表しました。EBPMは、エビデンスに基づく政策立案のこと。内閣府ではこれを「政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくもの」と定義しています。
有識者会議ではこれまで①住宅ローン減税制度②新築住宅に係る固定資産税の減額措置③リフォーム促進税制④空き家の譲渡所得3千万円特別控除――などについて、政策・制度による効果を調べてきました。国・地方の減収額に対する効果についても各種の調査結果をもとに検証し、それぞれに考察を付与しています。
中間とりまとめでは、住宅ローン減税制度によって一定の負担軽減効果や住宅購入への影響がみられ、税収減と同等以上の住宅投資額の押し上げ効果が認められたとしています。住宅ローン減税による税収減は国税が約8,280億円、地方税が約1,790億円とされているため、これと「同等以上」の効果があったとすれば、住宅投資額を1兆円以上押し上げたことになります。
「新築住宅に係る固定資産税の減額措置」についてのアンケート調査では、この減額措置がなかった場合、新築住宅購入者のうち約16%が「購入しなかった」と回答。また、長期優良住宅購入者のうち約26%が「上乗せ措置がなければ長期優良住宅ではない住宅を購入した」と回答しています。有識者会議ではこうした調査結果から、「住宅取得者の初期負担の軽減等に一定の効果が発現していることが示唆されている」としています。
「リフォーム促進税制」については、各種の調査結果を分析した推計値として、住宅投資額を約32億円押し上げた効果があったとしています。省エネ性能の高い住宅や子育て世帯の借入限度額上乗せ措置に関しても、「政策目的にかなう一定の効果があった」と結論。また、空き家の譲渡所得3千万円控除については、空き家やその敷地の売り出し促進効果と、それによる空き家の減少または増加の抑制といった効果があったとしました。
<情報提供:エヌピー通信社>