日本経済団体連合会はこのほど開催した定時総会で、第16代となる新会長に筒井義信氏(日本生命保険前会長)を選出しました。総会後の会見で社会保障制度改革の議論の進め方について問われた筒井会長は「世代間対立を極小化していく努力が必要」としたうえで、「応能負担の徹底が基本。例えば、超富裕層の課税、所得税の所得再分配機能の強化、資産課税の強化といった施策の検討が必要である」と述べました。
筒井会長は社会保障制度改革について、「給付と負担の構造を見える化し、国民的な議論を巻き起こしていくことで、現役世代の負担軽減につなげたいという思いが強く、経団連も積極的かつ明快な発信を常に心がけなければならない」と述べています。
富裕層・大企業の負担増については、「経済成長、人口増加の局面では見えていなかった社会保障制度の問題が、少子高齢化が進むなかで顕在化してきている」としたうえで、「助け合いの仕組みであるこの制度を持続可能にしていくためには、応能負担の徹底が基本である。例えば、超富裕層の課税、所得税の所得再分配機能の強化、資産課税の強化といった施策の検討が必要である。企業として応分の負担をすることは、当然、考えていかなければならない」と語りました。
参院選を目前に控え、与野党から出ている消費税の減税を求める意見については、「税・財政・社会保障の一体改革」を重点的に取り組む施策のひとつとして掲げる経団連会長として、「適切ではない」と一蹴。輸出企業が会員の大半を占める経団連の会長として、歴代会長と同様に消費税減税には否定的な姿勢を就任会見で鮮明に打ち出した格好です。
<情報提供:エヌピー通信社>