エヌピー通信社:経団連 富裕層への課税強化提言

 経団連はこのほど、富裕層への課税強化を盛り込んだ中期成長戦略「FUTUREDESIGN2040」を公表しました。2040年までに実現を目指す社会の姿を掲げたもので、柱となる施策として、①全世代型社会保障、②環境・エネルギー、③地域経済社会、④イノベーションを通じた新たな価値創造、⑤教育・研究、労働、⑥経済外交――の6つを挙げました。

 富裕層の負担増に言及したのは全世代型社会保障の項目。公正・公平で持続可能な制度の実現に向け、税と社会保険料を合わせた国民負担のあり方を一体的に見直すための組織「税・社会保障一体改革推進会議(仮称)」の設置を提言しています。現役世代の負担が大きい社会保険料の増加を抑制し、税による財源確保を進め、税と社会保険料のバランスの適正化を求めました。

 実現に向けた具体的な施策が富裕層への課税強化で、25年度から34年度の10年間に①超富裕層への課税強化策の拡充、②所得税の再分配機能の強化、③所得のみならず資産にも着目した負担――などの施策で所得税を段階的に引き上げ、34年度に5兆円程度の税収を確保するとしています。

 富裕層による〝応能負担〟を徹底しても財源を確保するのに不十分であれば、景気への影響と逆進性などを踏まえたうえで、消費税増税や企業の応分の負担なども行うとしています。これらの施策で確保した財源を現役世代の社会保険料負担の増加抑制に充当させることで、実質可処分所得が増加し、消費拡大につなげると経団連は提言しています。
<情報提供:エヌピー通信社>