政府税制調査会(翁百合会長・日本総合研究所理事長)はこのほど、財務省内で「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」(岡村忠生座長・京都大学名誉教授)の初会合を開きました。この専門家会合は、6月に開催された税制調査会の第3回総会で設置が決まったもの。税務手続や適正・公平な課税・徴収のあり方、経済社会のデジタル化を踏まえた税務・税制のあり方について、今後の総会で議論するための素材を整理していきます。会合には太田直樹日本税理士会連合会会長も特別委員として参加しました。
初会合では、①OECD(経済協力開発機構)における税務行政に関する議論、②事業者の取引から会計・税務までのデジタル化の現状等、③税に対する公平感を大きく損なうような行為への対応、④資料情報等の活用、⑤国境を越えたEC取引に係る適正な課税に向けた課題――について意見交換し、総会での本格的な議論に向けた論点整理が行われました。
当日、財務省からは「OECDにおける議論の方向性」「取引から会計・税務までのデジタル化」など、課題ごとの現状について説明がなされました。また国税庁が委員に配布した説明資料「税に対する公平感を大きく損なうような行為への対応」では、「税に対する公平感への悪影響が危惧される調査事例」として、①調査時に資料の提示・提出を拒否・遅延された事案、②国外取引に関し資料の提示等を拒否され全容解明に困難を来した事案、③国外関連者への支払に係る資料提供が十分になされず、その支払いの経費性についての実態確認に困難を来した事案――の3事例が紹介されました。
<情報提供:エヌピー通信社>