国税庁:2022事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績を公表!

 国税庁は、2022事務年度(2022年7月から2023年6月までの1年間)における租税条約等に基づく情報交換事績を公表しました。
 それによりますと、CRS(共通報告基準)に基づく非居住者金融口座情報(CRS情報)の自動的情報交換において、外国居住者の金融口座情報約53万件(口座残高約5.1兆円)を78ヵ国・地域に提供した一方、日本の居住者の金融口座情報約253万件(同16.4兆円)を95ヵ国・地域から受領しました。

 これらの情報は、富裕層による海外資産隠しなどの税務調査に生かされます。
 経済のグローバル化に伴い、企業や個人の海外取引や海外資産の保有・運用形態が複雑・多様化するなか、国税庁では、CRS情報やCbCR(国別報告事項)の自動的情報交換、租税条約等の規定に基づく外国税務当局との情報交換を積極的に実施しており、日本の情報交換ネットワークも、2024年1月1日現在で85条約等(154ヵ国・地域に適用)まで拡大しております。

 受領したCRS情報の活用例として、受領したCRS情報から、複数の国内外法人の役員を務める個人Aが、X国にある金融口座に多額の資金を保有していることを把握し、口座残高が前年から大幅に増加しており、申告に反映されていない収入があることが想定されたため、税務調査に着手した事例が挙がっております。
 そして、税務調査により、当該口座の資金原資の解明を行った結果、個人Aが利子・配当等を含む多額の投資所得を得ていた事実を把握しました。

 また、国税庁から日本に最終親会社等がある866グループのCbCRを61か国・地域に提供した一方、外国税務当局から2,237グループのCbCRを53ヵ国・地域から受領しました。
 CbCRの自動的情報交換は、OECDのBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの勧告に基づくものです。
 なお、受領したCbCRは、移転価格リスク評価その他のBEPSに関連するリスク評価及び統計に使用するとしております。
 今後の動向に注目です。
(注意)
 上記の記載内容は、令和6年3月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。