日本税理士会連合会は、2024年度税制改正に関する建議書を公表しました。
それによりますと、同建議書では、重要建議3項目のほか33項目の建議を盛り込んでおります。
具体的には、中小法人の配当促進税制の整備を行うとともに、役員給与税制を見直すことを掲げております。
中小法人について配当を行いやすい環境を整えるために、中小法人が配当を行う場合には、中小法人の所得のうち配当に充てられた部分に対する法人税率を低くするとともに、中小法人の個人株主が配当を受ける場合にも申告分離課税制度を認めることや、配当控除を引き上げることを検討するよう要望しております。
役員給与は職務執行の対価であり、原則として損金の額に算入され、恣意性のあるものなど課税上弊害があるものについてのみ損金の額に算入されないのが本来の姿と考えられるため、損金不算入とする役員給与を明示した上で、役員報酬及び賞与について株主総会等の決議によって事前に確定した金額の範囲までの部分については、不相当に高額なものを除き、原則として損金の額に算入すべきだとしております。
また、消費税の非課税取引の範囲を見直すことを要望しております。
社会政策的な配慮に基づくものや日本郵便株式会社等が行う郵便切手類の譲渡は、課税取引とし、課税標準及び仕入税額控除の計算過程に取り込み、小規模事業者判定における売上高基準にも反映させ、計算をできるだけ平易にすべきことを求めております。
さらに、消費税の軽減税率制度は、低所得者への逆進性対策としては非効率であることや、区分経理等により事業者の事務負担が増加していること等の理由から、軽減税率制度を廃止し、単一税率に戻すことも求めております。
そして、基礎的な人的控除のあり方を見直すとともに、所得計算上の控除から基礎控除へのシフトを進めることも要望しております。
給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大なことや、こうした所得計算上の控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除額を縮減した上で、基礎的な人的控除の額を引き上げるべきであり、その際には、負担調整の比重を個々の人的事情に左右されない基礎控除に移すことが望ましいとしております。
今後の税制改正の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、令和5年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。