厚生労働省がこのほど取りまとめた最新の最低賃金(時給)の目安は、全国平均で初めて1千円を超える見通しとなりました。改定後の最低賃金は10月以降に順次適用される予定となっています。
最低賃金は正社員だけでなくパート、嘱託、アルバイトなど雇用の形態を問わず全ての労働者に適用されます。違反が発覚すれば差額の支払いに加え、法律違反として罰金が科されることもある、大変厳しい強制力を持つものです。
ただし限られた例外のケースに限っては、最低賃金を下回る給料を設定してもいいともされています。その例外とは、①精神または身体の障害により著しく労働能力の低い人、②試用期間中の人、③認定職業訓練を受け、厚生労働省令で定める人、④軽易な業務に従事する人、⑤断続的労働に従事する人。
もっとも実際には、それぞれで厳しい条件が設けられています。例えば②「試用期間中の人」はみんな最低賃金を下回って問題ないかというと、そうではありません。最低賃金の減額が認められるためには、試用期間中の労働者の賃金を著しく低く定める慣行が存在するなどの条件を満たす必要があります。
過去の適用件数を見てみると、試用期間を理由に最低賃金の減額が認められたのは、1年に1件にも満たない状況です。試用期間を理由に最低賃金を無視するのは非現実的と言わざるを得ないでしょう。
<情報提供:エヌピー通信社>