任意の自治体に寄付すると住んでいる土地に納める税金が差し引かれる「ふるさと納税」制度について、返礼品をより厳しく規制するルールを総務省が公表しました。自治体間の返礼品競争を防止する狙いがありますが、返礼品の〝格落ち〟は必至です。
総務省が発表した新たなルールは、①返礼品の送付に関する事務経費の対象を拡大、②肉と米については地場産品の条件を厳格化――の2点。
①については、これまでも返礼品の価額と事務経費を合わせた合計額を寄付金額の5割以下に収めるよう求めるルールがありましたが、この事務経費の対象が拡大されます。従来は返礼品調達費や送料、広報費などが対象でした。これに確定申告が不要となる「ワンストップ特例」の事務費、寄付の受領証明書の発行費なども含めることになります。同じ寄付金額に対して自治体が返礼品にかけられる経費の限度額が下がることになるため、寄付した納税者にとっては返礼品の内容が〝落ちる〟ことになります。
また②については、加工品のうち熟成肉と精米についてのみ、原材料が同一の都道府県内産のみに限られるようになります。返礼品は地場産品に限られるものの、これまでのルールでは加工過程のみを地元で行っていれば地場産として扱われていました。
多くの自治体では寄付金額の3割を占める返礼品の調達費に加え、配送料や民間ポータルサイトへの掲載料などを負担した結果、経費総額の5割を超えることも珍しくありませんでした。こうした経費が膨らみ、寄付が増えても自治体として赤字に陥ることもあったそうです。今回のルール見直しの狙いについて総務大臣は、「寄付金のうち少なくとも半分以上が寄付先の地域のために活用される」と説明しています。
<情報提供:エヌピー通信社>