国税庁は、2021事務年度(2022年6月までの1年間)における海外取引法人等に係る実地調査状況を公表しました。
それによりますと、同事務年度において、海外取引法人等に係る実地調査を6,676件(前年度比46.1%増)実施しました。
新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されて調査件数も増加しましたが、上記のうち海外取引等に係る非違が1,752件(前年度比23.0%増)把握されました。
非違があった件数は前事務年度に比べて増加し、海外取引等に係る申告漏れ所得金額も5.3%増加して1,611億円となり、非違があったうちの219件(同18.4%増)は不正計算があったもので、不正所得金額は108億円(同16.4%)となりました。
調査事例では、現地の登記情報等を端緒に外国子会社合算制度の適用誤りを把握した事例が挙がっております。
A社は、軽課税国であるX国に100%出資している外国子会社を有しているにもかかわらず、その外国子会社について申告を行っていませんでした。
国税庁は、現地の登記情報等から外国子会社の実態を確認し、その外国子会社について外国子会社合算制度を適用すべきところ、適用が漏れていた事実を把握しました。
その他、外国法人に対する借入金に係る利子の源泉徴収漏れを把握した事例も挙がっております。
B社は、Y国の子会社からの借入金に係る利子について、その借入金の元本に繰り入れており、実際に金銭の支払いをしていなかったことから、源泉徴収は不要と考えて処理しませんでしたが、現実に金銭が交付されていなかったとしても、支払債務が消滅する一切の行為が「支払」に該当しますので、該当されます方はご注意ください。
企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられることから、国税庁では、このような海外取引法人等に対し、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでおります。
(注意)
上記の記載内容は、令和5年5月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。