昨年の実質賃金0.9%減額

◆現金給与総額は
 毎月勤労統計調査令和4年分結果速報により昨年支払われた現金給与総額と実質賃金との関係を見てみると、現金給与総額は前年比2.1%増の326,157円となり1991年以来31年ぶりの伸び幅となりました。所定内給与で見ると一般労働者は318,904円、1.3%増、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,242円、1.6%増です。

◆実質賃金は
 一方物価の変動を反映した実質賃金は前年比0.9%減少と2年ぶりのマイナスとなりました。現金給与総額はコロナ禍で落ち込んだ経済の回復を背景に2.1%増加しました。給与総額のうち基本給に当たる所定内給与は1.2%増、残業代などの所定外給与は5%増となりました。賞与などについては5.1%増と大きく伸びています。しかし、賃金の実質水準を算出する指標となる物価が3.0%の上昇となったため実質賃金はマイナスとなりました。
 働いている形態で見ると正社員等一般労働者の給与総額は2.3%増、パートタイム労働者は2.6%増でした。コロナ禍で落ち込んでいたボーナスが4年ぶりに増加するなど給与は増加傾向にありますが、物価の上昇に追い付いていません。

◆労働時間と雇用状況はどう変化?
 労働者一人平均の総実労働時間は昨年比0.1%増の136.2時間でした。そのうち所定内労働時間は0.3%減の126.1時間、所定外労働時間は4.6%増の10.1時間となりました。
 雇用状況では常用雇用者は昨年比0.9%増の5,134万2千人でした。就業形態別に見ると一般労働者は0.5%増の3,513万人、パートタイム労働者は1.9%増の1,621万2千人でした。
 賃上げして従業員に報いたいという気もちは経営者の変わらぬ思いでしょう。しかし物価上昇に追い付かない状況ではなかなか経営努力が目に見えにくいということかもしれません。