ふるさと納税の返礼品基準に違反したとして4月26日に制度からの除外が決定した兵庫県洲本市で、税優遇を受けられる最終日である4月30日までの5日間で500件以上の駆け込み寄付があったことが分かりました。還元率の高い返礼品が制度の人気につながっていることを皮肉にも証明したかたちです。
同市は、昨年10月から寄付に対する返礼品として、地元旅館で仕える温泉利用券を用意。その際に寄付額10万円に対して5万円分の返礼品として提供していました。同市は、旅館に支払う5万円のうち2万2,500円を手数料として、総務省の定める「調達費」から除外していましたが、同省は手数料も合計した金額が調達費に当たると認定し、ふるさと納税制度からの同市の除外を決定しました。返礼品基準に違反して除外を受けたのは高知県奈半利町、宮崎県都農町に続き3例目。次に制度に復帰できるのは2年後の2024年5月からとなります。
問題となった温泉利用券に対しては1万2千件超、計約18億円の寄付が寄せられていました。同市は除外決定の処分を受け、寄付者からの問い合わせを受けるコールセンターを設置し、ゴールデンウィークの連休中も対応。寄付者からは「寄付した分の税優遇は受けられるか」、「過去の寄付に対する返礼品は送られてくるのか」などの質問が寄せられたそうです。
除外処分の対象は5月以降であるため、処分が報じられた4月26日からは数日の猶予がありました。この間の寄付については税優遇が受けられるため、高返礼率を求めた〝駆け込み寄付〟が500件以上あったということです。
ふるさと納税を巡っては、自治体間の返礼品競争が過熱したことから、総務省が2019年に、「寄付額の3割以下・地場産品のみ」とする基準を設けました。しかしその後も、特産品のある自治体とそうでない自治体の間で格差が生まれるなど新たな問題も生じているのが現状です。
<情報提供:エヌピー通信社>