中小企業のM&A(事業売却)を仲介する業者を国が認定する「M&A支援機関登録制度」を巡り、中小企業庁はこのほど、情報提供を受け付ける窓口を開設しました。問題のある業者の情報を募ることで、登録機関の質を保つことが狙いです。
M&A支援機関登録制度は、2021年8月にスタートしたばかりの新しい制度です。M&A市場の急拡大に伴い支援業者の質が低下することを防ぐため、国が取りまとめた「中小M&A推進計画」に基づき、ガイドラインに沿った取り組みを行う支援業者を認定します。M&Aにかかる諸費用を国が一部負担する「事業承継・引継ぎ補助金」では、同制度の登録機関による支援費用のみが補助対象となります。初回の募集では2,278のM&A仲介業者や税理士、金融機関などが登録されました。
登録機関には、ガイドラインに定められた「顧客の利益の最大化」、「情報流出・漏えいの注意」、「契約の重要事項の説明」、「専門家の意見聴取による助言」などの取り組みに加えて、定期的な仲介業務の実績報告も求められます。
実績の内容によっては認定の取り消しもあり得る仕組みで、その参考となるのが、今回開設された窓口に寄せられる情報です。情報提供などを基に登録要件を満たさないことを確認し、さらに別途設置された有識者委員会で議論し、その上でなお事情に鑑みて「認定取り消しが適当」と判断された時に認定取り消しが行われます。
中企庁はさらに、提供のあった情報が他の中小企業にとって特に参照すべき事例だと判断したときには、情報提供者が特定されない形に加工をした上で、不適切事例として公表するとしています。
注意したいのは、窓口はあくまで情報提供を募るものだという点です。中企庁は「紛争処理や助言を目的とするものではございません」と呼びかけ、仲介業者との間で生じたトラブルを解決するために動くことはないことを強調しています。
<情報提供:エヌピー通信社>