現金ではなく自社株を対価とする自社株M&Aについて、買い手への優遇策が税制改正で新設されます。
自社株M&Aは、手元に現金がなくても買収を行えるため資金に余裕はないが将来性のあるベンチャー企業や、大企業の子会社などが買収をしやすくなるという特徴があります。しかしこれまでは、株式を受け取った側の譲渡益に多額の所得税が課されることを理由に実行に踏み切れないケースも多いという実情がありました。譲渡益に対する課税を繰り延べる特例が18年度に創設されていたものの、特例を適用するためには一定の要件を満たし、産業競争力強化法に基づく「特別事業再編計画」に該当する必要があり、実用性に乏しかった面は否定できません。
そこで21年度改正では、買収対価の80%以上が自社株であるときは、その譲渡益に対する課税を繰り延べる税制が設けられます。新税制は既存の制度に比べて、自社株と金銭の混合対価も対象としていること、特別事業再編計画の認定を受ける必要がなくなった点がメリットとして挙げられます。
<情報提供:エヌピー通信社>