◇原則的な取扱い
減価償却資産について修繕等をして、資本的支出として損金の額に算入されなかった金額がある場合には、その金額を取得価額として、修繕対象資産と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに別途取得したものと扱われます。
◇翌年期首の選択事項
その事業年度の前事業年度において、修繕対象資産と資本的支出につき別個に減価償却している場合で、その資産が定率法を採用している平成19年4月以後取得資産のときは、その事業年度の期首の日付にて、修繕対象資産と資本的支出の期首帳簿価額の合計額を新取得価額とする一の中古の減価償却資産を新たに取得したものとすることができます。
◇一の新取得とされた中古資産の耐用年数
中古資産に新たに付される耐用年数は、
(1)資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%以下のときは、
①使用可能期間としての見積年数
②簡便法で計算した年数
のいずれかの方法により定められます。
(2)資本的支出額が対象資産の再取得価額の50%超のときは、上の①②の適用がないので、本来の法定耐用がそのまま付されることになります。
再取得価額とは、中古資産と同じものの新品を取得する場合のその取得価額をいいます。新品価額の50%相当額を超える資本的支出を行った場合には、その資産はもはや中古とは言えず、新品と同様に取り扱うべきとの考えで、先の(1)と(2)の区別がなされているようです。
◇当初からの中古資産への資本的支出
資本的支出をする対象となった資産がもともと中古資産で、見積法あるいは簡便法で耐用年数が決められていた場合、この度の資本的支出の額が新品再取得価額の50%を超えるような時には、一の中古の資産に対し旧来の耐用年数ではなく、本来の法定耐用が付されることになります。
このようなケースでは、冒頭の原則的取扱いのままの場合なら、もともとの対象資産の短い耐用年数が資本的支出にも適用になるので、選択の有利不利はよく検討しなければなりません。