消費税は、単純に言えば、財・サービスの消費に対して課される税金であり、一方、印紙税は、日常の経済取引に関して作成される各種の文書のうち、一定の要件を満たした文書に対して課される税金です。
この意味で両者には共通点はありません。
しかし、消費税の課税対象は、国内において行なった課税資産の譲渡等(財・サービスの消費)であり(法律的な表現として厳密でありませんが)、一方、印紙税の課税対象は、文書ですが、当該文書の作成が日本国内で作成されていなければ、課税はできません。両者の共通点は、国境を越えて課税できない点(属地主義)であります。
(1)輸出免税の適用と契約書
外国企業(税法上の用語では非居住者)と役務提供契約(役務提供地は国外)を締結し、契約書に明示された対価を当該外国企業から受領した場合、国内の事業者にとっては、当該対価は輸出免税の対象となって消費税の課税が免除されます。
そこで、税務調査時に、この輸出免税があったときは、税務署はその事実を確認するために、契約書等の書類の提示を要求します。
(2)契約書はどこで作成されたか
税務職員は、消費税における輸出免税適用の適法性について当該契約書で確認した後、「この契約書はどこで作成されましたか」と。この問いに、一瞬、戸惑いもしますが、ここは冷静に対処しなければなりません。契約書が何処で作成されたのかが重要なのです。安易に「国内で作成しました」と言ってしまえば、「印紙税納付」の漏れとの指摘を受けますので、契約書作成の事実関係を確認して返答すべきでしょう。
契約書は、双方の意思の合致ですので、双方の署名押印等が必要です。そこで、意思の合致が成立するのは、契約書に最後の者が署名押印したときです。したがって、最後の署名押印者が国外であれば、課税文書の作成された場所は国外になり、印紙税の適用はないことになります。