個人事業者が法人を設立することを「法人成り」と言いますが、個人事業が軌道に乗ってくれば、法人成りについて一度は検討してみてもいいかと思います。
 まずは、法人成りのメリットとデメリットをよく理解した上で判断することをおすすめします。

一般的なメリット

①給与所得控除が使える
 法人成りをして会社から給与を受け取るようにすれば、経営者自身の所得税で給与所得控除が使え、節税になります。
②消費税が最大2年間免除される
 資本金が1千万円未満の法人は、2期にわたって消費税が免税となります。
 ただし、特定期間の課税売上や、特定新設法人の規定により免除にならない場合があります。
③決算期が自由に設定できる
 個人事業者の場合は12月決算の翌年3月15日申告と時期が固定されていますが、法人は決算期(会計期間)が自由に設定できます。
④繰越欠損金の繰越控除の年数が増える
 個人は3年ですが、法人の場合は10年(平成30年4月1日以後に開始する事業年度の場合)になります。
⑤対外的な信用が増す
 対外的な信用はどうしても個人事業よりも法人の方があります。融資や取引で見劣りしないように法人成りをするというのも立派な理由です。

一般的なデメリット

①法人設立の手間と費用がかかる
 定款を定めて、登記をしなければならず、定款認証手数料や登録免許税が必要となります。
②社会保険の加入義務がある
 個人事業では4人までの雇用であれば社会保険の加入義務はありませんが、法人成りすると1人でも社会保険への加入が義務付けられます。
③赤字でも税金(均等割)がかかる
 資本金が1千万円以下の法人でも、約8万円の法人住民税(法人都道府県民税+法人市町村民税)がかかります。これは均等割と呼ばれる部分で、赤字だったとしても税金が取られます。

以上、様々な視点から法人成りをするかしないかを判断すべきでしょう。

個人事業と株式会社の比較

組織形態 個人事業 株式会社
開業時の届出 税務署と都道府県税事務所に開業に関する届出書類を提出するのみ
※自治体によっては市町村役場への届出も必要な場合がある
公証人役場で定款の認証を受けた後、法務局で設立登記を申請する
設立後、税務署と都道府県税事務所、市町村役場へ届出書類を提出
開業時の費用 登録費用等は不要 開業費用として、登録免許税・定款認証手数料・印紙税など少なくとも24万円程度必要(合同会社は10万円程度)
代表社印・銀行印・社印の最低3つのハンコを用意しなければならない
負担コスト 不要 決算公告が義務づけられ、官報の掲載に約6万円かかる(合同会社は不要)
法人所得が赤字でも法人住民税の均等割りが8万円程度かかる
社会的信用 取引先によっては法人でないと契約してもらえない場合がある
介護事業など事業内容によっては法人でないと許認可がおりない場合がある
一般に社会的信用度が高い
個人事業よりも人材が確保しやすい
個人事業よりも大きな取引ができる
融資を受けやすくなる場合がある
経理処理
税務申告
経理処理が会社と比べて簡単
税務申告時に必要な書類も会計ソフトで作成することができる
経理処理が複雑で手間がかかる
税務申告時に必要な書類の数も多く、専門的な知識がないと難しい