日本税理士会連合会(以下:日税審)の税制審議会は、「個人所得課税における控除方式と負担調整のあり方について」に対する検討結果を取りまとめました。
 それによりますと、同審議会は所得金額の計算における概算控除制度は可能な限り縮小する必要があること、基礎控除などの人的控除制度を抜本的に見直すべきことを基本的な認識としております。

 給与所得控除については、2018年度税制改正において、控除額を一律10万円引き下げるとともに、控除の上限額を195万円とし、その適用対象となる給与収入金額を850万円にそれぞれ引き下げました。
 答申によりますと、この改正は過大な給与所得控除の改善に資するものと評価することもできるが、給与所得者が実際に負担する必要経費の実態からみると微調整を行ったに過ぎず、所得金額の計算の適正化を図るものとはいえないと指摘しております。

 所得金額の計算については、実額の必要経費のみを控除するのが原則だが、概算控除制度を廃止し、全ての給与所得者に記帳義務を課すことは実際問題として困難であるとしております。

 そして、実額の必要経費控除制度となると年末調整制度が機能しないことなどを勘案すると、概算控除制度を存置することもやむを得ないとした上で、その控除額は給与所得者の実際の必要経費の実態を踏まえた水準にするのが適当だとしております。

 一方、人的控除制度のあり方では、基礎的な人的控除(配偶者控除など)と特別な人的控除(障害者控除など)以外の所得控除(医療費控除など)は、それぞれの控除の役割と意義を検証した上で、廃止すべきもの、縮小すべきもの及び税額控除方式へ移行すべきものに区分し、複雑化した現行の所得控除制度を簡素化する必要があるとしております。

 人的控除制度の見直しについては、若年層及び低所得者層を支援するとともに、所得再分配機能の回復を図る観点から、所得控除を縮小し、その一部を税額控除にシフトする視点が重要だとし、当面は、課税最低限を規律している基礎的な人的控除の額を引き上げた上で所得控除方式として存置し、その他の所得控除項目の整理合理化を図りつつ、可能な範囲で税額控除方式とすることが適当だとしております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成30年6月15日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。