金融庁は、2021年度税制改正要望を公表しました。
 それによりますと、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた対応として、第三者への事業承継について譲渡益課税を猶予する措置や、中堅・中小企業向け融資促進支援のための時限措置、企業再生税制の拡充(事業再生ファンドによる債権放棄の追加)などを盛り込んでおります。

 経営者の高齢化が進む現状において、中小企業の円滑な事業承継は重要な政策課題となっており、既に代表者になっている者への株式贈与・相続による事業承継では事業承継税制が採られていますが、第三者への株式譲渡による事業承継については、創業利益が一括で株式譲渡課税(20%)されるため、承継の障害となっていると指摘しております。
 そして、新型コロナ感染症の影響により自主廃業を迫られる中小企業も少なくないと考えられ、早急な対応が必要として、第三者への事業承継について譲渡益課税を猶予する措置を講じることを求めております。
 また、コロナ禍の影響が長引くなか、資金繰りを含めた金融機関による事業者支援の必要性が増大しております。

 とくに制度融資ではカバーしきれない部分(プロパー融資)で金融機関に期待される役割は一層大きくなっておりますが、金融機関が融資で積極的に新たなリスクを取ったとしても、税務上損金と認められる貸倒引当金は機械的に算出された低い水準に抑えられ、金融機関に税負担が生じることで貸出余力が損なわれることから、金融機関が期待される役割を果たし続けるためには、中堅・中小企業向けプロパー融資(金融機関が実行する国内勘定の企業向け融資のうち信用保証協会の保証がない融資)の前年度比増加額の一定割合について、税務上、損金算入できる貸倒引当金として追加で認められる税制特例を創設し、金融機関の税負担を軽減することで自己資本が温存でき、貸出余力が増加するとの考えを示しております。

 その他では、所得税法・地方税法上の生命・介護医療・個人年金の各保険料控除の最高限度額を5万円及び3.5万円とし、所得税法上の保険料控除の合計適用限度額を15万円とすることなども要望に盛り込んでおります。
 今後の税制改正の動向に注目です。
(注意)
 上記の記載内容は、令和2年11月9日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。