株式を使った企業の合併や買収(M&A)について、政府・与党は買収される企業の株主の税負担を大幅に軽減する方針を決めました。手元の資金が少ない新興企業でも、自社株を対価にしてM&Aができれば新しい分野に進出しやすくなります。企業が取り組む資本政策の選択肢を増やすことで、事業の再編を活性化させる狙い。2021年度の税制改正を目指して協議を進めます。

 政府は産業競争力強化法に基づき、「特別事業再編計画」と認めた企業の再編について税の優遇措置を導入しています。買収された企業の株主が受け取った株式を売却するまで、課税の繰り延べが可能になる仕組みです。例えば、企業が自社株を対価として買収相手の企業に株式公開買い付け(TOB)を実施した際、相手企業の株主が応じると株式の売却と認められ、売却益相当額が課税の対象になります。しかし、株主が受け取るのは買収企業の株式のため、納税のためには別に資金を用意しなければなりません。税優遇は、こうした負担を回避できるものです。

 ただ、この認定を受けるために設けられたハードルは高いものとなっています。財務の健全性や雇用への配慮、新需要の開拓など9項目について細かく審査されます。実際に認定されたケースはほとんどないため、産業界だけでなく経済産業省からも見直しを求める声が多かったのが実情です。そこで政府・与党は、21年3月末で期限を迎える優遇措置を延長した上で、国が計画を認定しなくても課税の繰り延べが活用できるよう改定することを検討しています。経産省と財務省が詳細を詰めた後、さらに与党の税制調査会で揉み、12月にまとめる税制改正大綱に反映させたい考えです。
<情報提供:エヌピー通信社>