会計検査院が廃業した個人事業主の確定申告をサンプル調査した結果、4割弱で消費税の課税漏れがあった可能性があることが発覚しました。消費税は、広く国民全体から徴収できる仕組みであることから、「社会保障制度を安定させて財政再建を進めるには適切な増税対象」とされてきました。しかし正しい徴収ができていない実態が浮上し、財務省幹部は「税率を10%に引き上げたばかりのタイミングでの判明は、間が悪すぎる」と頭を抱えています。

 個人事業主向けの制度では、業務で使う自動車や不動産の購入、商品の仕入れなどの際に支払った消費税について、事業を続ける限りは控除されることになっています。ただし廃業すれば、こうした資産が私用に転用されたと位置づけられ、資産価値などに応じて改めて申告することが義務付けられています。

 検査院が2015~17年に廃業した約800事業主を抽出し、廃業後の確定申告書などを調べたところ、約300の事業主について廃業時に保有していた計100万円以上の資産を申告しなかった形跡が見つかり、その総額は計11億8千万円に上りました。約2千万円相当の自宅兼事務所のマンションを廃業後の申告で保有資産として記載していなかったケースなどがありましたが、未申告の品目は車や不動産といった高額なものだけでなく、冷蔵庫やエアコンのような家電も含まれていたそうです。

 会計検査院は「チェック作業が緩い」と分析し、確定申告で提出された書類の確認を徹底するよう国税庁に要求。国税庁はホームページや書類などで、廃業する個人事業主に対して制度を再度周知する取り組みを始めました。別の財務省幹部は「いずれ10%超に引き上げる議論が出てくる。国民の反発が高まる要素は少しでも排除し、地ならしを進めていきたい」と話します。
<情報提供:エヌピー通信社>