時間外労働に対する割増賃金が未払いだった企業が、労働基準監督署の監督指導を受けた後に社員に支払った未払い分の額は、昨年は1社あたり平均で711万円に上ることが厚生労働省の報告書で明らかになりました。2018年4月から19年3月の支払い額を取りまとめたもの。政府が推進する「働き方改革」では、労働時間の把握義務が法制化されるなど企業側の説明責任がこれまで以上に重くなっていますが、違反した時の金銭面の負担も重いことが分かります。

 厚生労働省によると、不払いだった割増賃金を労働者に支払った企業のうち、その支払い額が100万円以上だったのは1768社でした。このうち支払い額が1千万円以上の企業は228社でした。支払われた割増賃金の総額は125億6381万円で、1社当たり711万円。対象となった労働者の総数は11万8837人でした。社員1人当たりでは11万円。

 業種別の企業数では、製造業(全体の18.8%)、商業(18%)、保健衛生業(13%)、建設業(10.1%)、運輸交通業(6.7%)で続きます。しかし対象となった労働者数で見ると、保健衛生業が2万3981人で全体の20.2%を占めてワーストでした。

 厚労省が発表した違反事例によると、ある会社では残業をしている社員がいるにもかかわらず、管理者が社員全員のタイムカードを終業時刻に合わせて打刻させていました。労基署が立ち入り検査をしたところ、タイムカードの記録と実際の入退館の記録との間に乖離があることが判明したそうです。

 また別の会社は、社員が「労働時間管理表」に記載した記録を基に労働時間を管理していましたが、その自己申告のデータと、パソコンのログ履歴や金庫の開閉記録との乖離があったことから、労基署に是正を求められました。労働者からの内部告発をきっかけに立ち入り検査を行ったとのことです。
<情報提供:エヌピー通信社>