小売店や飲食店における財務管理において、特に大切な要点は次の3点です。

 ①店舗などの固定資産を取得(所有)しないこと
 ②商品・材料などの在庫は必要以上に持たないこと
 ③掛売はできるだけしない(売掛金を減らす)こと

 第1に大切なことは、店舗などの固定資産は所有しないことです。
 小売店や飲食店を始めようと思えば、通常の場合、どこかに店舗を構えなければなりません。
 店舗を構える方法は、自前で持つか他人から借りるかのどちらかになりますが、小売店や飲食店のように店舗の立地が重要な商売の場合、決して、自前の店舗を所有するために、土地や建物を取得しようと考えてはいけません。
 なぜなら、立地条件は不変のものではないからです。例えば、新たに幹線道路や駅ができれば、人の流れは変わってしまいます。それこそ、信号が一つできただけでも、人の流れが変わってしまうこともあるのです。また、近くに強力なライバル店が進出してくることもあります。
 その場合、店舗を所有していると、身動きがとれなくなります。特に借金をしてまで店舗を取得した場合には、なおさら店舗を移転することは難しくなります。その点、賃貸とか、テナント出店などであれば、臨機応変な対応が可能になります。
 また、自前で店舗を持たない場合、賃貸にしても、百貨店・スーパー・ショッピングモールなどにテナントとして出店するにしても、家賃の何ヶ月分の敷金や保証金とか、建物の内装にかかる費用とかのある程度の初期投資が必要になりますが、土地や建物を取得することに比べれば、初期投資額をはるかに低く抑えることができます。

 第2に大切なことは、商品や材料などの在庫を必要以上に持たないことです。
 小売店で在庫が多いというのは問題です。店舗の業態によって異なりますが、飲食店では3日分、小売店でも10日分の在庫を持てば十分なはずなので、それ以上の在庫を抱えているのであれば、要注意です。
 特に、小売店における財務管理の要点は、在庫の回転率を高めることです。そのためには、定期的に在庫の棚卸作業を行い、売れ筋商品、死に筋商品のチェックを怠らないことです。それによって、在庫切れによる機会損失や不良在庫を極力なくすことが可能になります。

 第3に大切なことは、掛売をできるだけしないで、売掛金を極力減らすことです。
 小売店や飲食店は、現金商売が原則です、毎日現金が入ってきて、支払は掛けで、月末か翌月払いにすれば、当然、資金余裕が生まれます。これが、小売店や飲食店の強みであり、特性ともいえます。しかし、掛売を行い、売掛金が発生すると、現金商売の強みである資金余裕が失われ、もし回収できなかった場合には、資金繰りが悪化し、経営自体が傾くことになってしまいます。
 特に、小売店や飲食店の経営者が留意することは、資金余裕があっても、その資金を決して無駄遣いしないようにすることです。ただでさえ、店舗は何年か経てば改装などが必要になりますし、また、店舗を移転しなければならないようなことが起きれば、保証金や敷金などが必要になります。したがって、ある程度の資金は常に確保しておく必要があるからです。
 そのためには、現金商売に徹して、資金を無駄遣いしないことこそが、小売店や飲食店における財務管理の重要なポイントになります。