これまで複式簿記で手書きの会計帳簿をつけてきた人にとっては、パソコンで経理処理を行うようになれば、面倒な転記作業や集計計算の省略化など、圧倒的に処理速度が向上することにより、経理に要した作業時間が画期的に短縮できます。
 しかし、複式簿記で経理をしたことがない人にとっては、まず正しく仕訳を行うという作業から始めていただく必要があります。いくらパソコンでも正しい仕訳が入力されていなければ、正しい会計帳簿はできないからです。

 そこで、ある程度の簿記の知識が必要になってくるわけでありますが、パソコン会計なら、必ずしも簿記の知識がなくても大丈夫です。
 確かに、「借方」と「貸方」といった簿記特有の用語や考え方を勉強していなければ、発生した取引について仕訳を行うことはできませんが、パソコン会計ソフトを使用して、取引を入力する画面は、「仕訳」の形式だけではなく、「帳簿入力」の形式も用意されていますので、「家計簿」の形式で入力することもできるのです。これなら、簿記の知識がなくても入力することができます。

 また、わずかながら仕訳形式から入力する取引もありますが、その場合は、「仕訳辞書」という機能を利用すれば、仕訳例が表示されますので、それに従って大概の仕訳はできるようになっています。また、仕訳のパターンを登録することができるので、パソコン会計ソフトに登録して、入力のつど仕訳パターンを呼び出して使用すれば、仕訳を覚えなくても処理することができます。

 例えば、「8月1日にチラシ広告の配布費用50,000円現金で支払った」という取引について、仕訳の形式と帳簿の形式では、実際のパソコン会計ソフト上の入力画面では、以下のようになります。

1.仕訳の形式で入力する場合

 ・発生した取引を「借方」と「貸方」に分けて、仕訳帳の画面から入力します。
 ・借方の勘定科目は、「広告宣伝費」、金額は50,000円とします。
 ・貸方の勘定科目は、「現金」、金額は同じく50,000円となります。

【仕訳帳の入力画面】

日付 勘定科目 借方金額 勘定科目 貸方金額 摘 要
8/1 広告宣伝費 50,000 現 金 50,000 チラシ広告の配布
2.帳簿の形式で入力する場合

【現金出納帳の入力画面】

日付 勘定科目 摘 要 収入金額 支出金額 残高
前月繰越 5,000
8/1 広告宣伝費 チラシ広告の配布 50,000 55,000

 入力画面を見ればわかるように、仕訳の形式では、発生した取引を「借方」と「貸方」に分ける必要があるため、簿記の知識がなければできません。
 一方、帳簿の形式は、入金があれば「収入金額」欄に、出金があれば「支出金額」欄に入力するだけであるため、簿記の知識がなくても処理できます。
 また、仕訳の形式で入力する場合、画面上で残高を確認することができませんが、帳簿の形式で入力する場合、入力すれば「残高」欄に残高が表示されますので、とても便利です。

 このように帳簿画面から入力を行えば、簿記の知識がなくても、取引を簡単に入力できます。
 特に経理は毎月同じ作業の繰り返しであるため、一度パターンを覚えてしまえば、短時間で処理できるようになります。


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