財務省は、日本を含む67ヵ国・地域が「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)に署名したことを明らかにしました。
 各国の税制の違いなどを利用した過度な節税策が問題視されるなか、この多国間協定により複数の国にまたがる過度な節税策にまとめて網がかけられるとみられております。

 同多国間協定は、BEPSプロジェクトで策定された税源浸食及び利益移転(BEPS)を防止するための措置のうち租税条約に関連する措置を、同条約の締約国間の既存の租税条約に導入することが目的です。
 同条約の締約国は、租税条約に関連するBEPS防止措置を、多数の既存の租税条約について同時かつ効率的に実施することが可能になります。

 協定は5ヵ国以上が批准した時点で発効され、日本政府は2018年の通常国会で協定承認を目指すとしております。
 現状、過度な節税封じの対策を共有するには、二国間の租税条約の改正が必要ですが、世界中に広がる課税逃れに対抗するには、該当国の数だけ条約改正手続きが必要となり、煩雑で時間もかかります。

 租税条約は世界で3,000ほどあり、個別に改正手続きを進めると10年近くかかると言われましたが、多国間協定により、二国間の条約改正をしなくても課税逃れ対策の統一ルールを適用できるようになります。
 ただし、米国は今回の多国間協定に参加せず、2国間の租税条約などで対応するとしており、統一ルールで足並みをそろえますが、国際的な連携に課題が残っております。

 こうしたなか、財務省は、2018年にもグローバルに活動する企業の節税防止策を強化する方針で、各国の税率の違いを利用した租税回避を防ぐ仕組みを2018年度の与党税制改正大綱に盛り込む方向で調整予定です。
 現状、日本ではグループ間の利子の支払いについて所得の5割まで損金計上が認められますが、財務省はこの割合を1~3割に圧縮して低税率国の子会社への利益移転を防ぐ模様です。
 この他、知的財産を低税率の国の子会社に移す節税策の防止や、過度な税逃れを指南する税理士に開示義務を課す新制度の導入も検討しているといい、多国間協定により、国際的な課税逃れ防止が大きく前進するものとみられております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年12月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。