2017年度税制改正において、所得税・個人住民税における配偶者控除及び配偶者特別控除を見直し、配偶者控除を満額受けられる配偶者の年収上限を103万円から150万円に引き上げました。
 この見直しにより、いわゆる「103万円の壁」を解消し、就業調整を意識しなくても済む仕組みの構築が期待されますが、そのためには、税制だけでなく、社会保障制度や企業の配偶者手当などの面で総合的な取組みを進める必要があるとみられております。

 今回の改正で、「103万円」という水準が、企業の配偶者手当制度などの支給基準に援用されているとの指摘があります。
 与党の税制改正大綱では、企業に対し「今回の見直しを踏まえ、労使の真摯な話し合いの下、就業調整問題を解消する観点からの見直し」を要望しております。
 厚生労働省(以下:厚労省)においても、企業の実情も踏まえて、配偶者手当の見直しを強く要請しております。
 また、厚労省の2015年職種別民間給与実態調査によりますと、家族手当制度がある民間事業所は76.5%で、そのうち配偶者に家族手当を支給する事業所は90.3%にのぼりました。

 有配偶女性パートタイム労働者の21.0%は、税制、社会保障制度、配偶者の勤務先で支給される「配偶者手当」などを意識し、その年収を一定額以下に抑えるために就労時間を調整する「就業調整」を行っております。
 そのため、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)については、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しが求められ、厚労省では、労使において、個々の企業の実情(共働き、単身者の増加や生涯未婚率の上昇等、企業内の従業員構成の変化や企業を取り巻く環境の変化など)も踏まえて、真摯な話し合いが進められることを期待しております。

 また、厚労省は、「配偶者手当」を含めた賃金制度の円滑な見直しにあたり、労働契約法、判例などに加え、企業事例などを踏まえ、その円滑な見直しに向けて留意する必要がある点として、
①ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組み
②労使の丁寧な話合い・合意
③賃金原資総額の維持
④必要な経過措置
⑤定後の新制度についての丁寧な説明の5点を挙げております。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成29年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。