国税庁によると、脱税のうちでも特に悪質なものを対象とする「査察調査」があばいた2016年度の脱税額は総額で161億円でした。着手件数では前年を下回ったものの、マルサの〝成果〟となる告発率は直近3年間でも飛び抜け、7割に迫る数字となっています。

 告発した事案1件当たりの脱税額は9600万円。脱税によって得られた資金は、現金、預貯金、有価証券、FX取引の証拠金として溜め込まれていた例が多かったそうですが、なかには競走馬の購入資金や愛人への〝お手当〟に使われていたケースもあったとのことです。

 特徴的な事例として紹介されているのは、消費税の免税取引を利用した高級時計輸出会社の脱税スキームです。この会社は在庫を抱える高級腕時計をグループ会社間で還流させ、そのなかに国外にある企業を混ぜることで、消費税の免税取引による不正還付を受けていました。この事案について国税庁は、削除されたパソコンのデータを削除履歴などから逆にたどって完全復元する「デジタルフォレンジックツール」を利用して不正取引の全容を解明したと胸を張っています。

 また近年国税が特に力を入れている国外財産の捕捉事例としては、国外に設立した企業に架空の手数料名義で所得を逃し、国外預金や不動産に留保していた事案が紹介されています。この事例では、租税条約に基づく外国税務当局との情報交換制度が解明に役立ったそうです。「パナマ文書」などをきっかけに、各国間の税務当局ネットワークを密にする取り組みは急速に進んでいることから、租税条約を活用した国際事案の発覚は今後増えていくことが予想されます。
<情報提供:エヌピー通信社>