税の専門家である税理士でもミスを犯す恐れがあることを前提に、顧客から訴えられたときの賠償分の一部をカバーする「税理士職業賠償責任保険」(税賠保険)があります。日本税理士会連合会(日税連)は毎年、税賠保険による補償を税理士が申請した事例を紹介し、同様のミスが起こらないように注意喚起しています。税理士の失敗を反面教師にして、自社のミスで税金を過大に納付することのないようにしたいところです。

 不動産業を営んでいるA社は、翌年度に多額の設備投資をすることを税理士に伝えました。同社は消費税の計算について、業種ごとに定められた「みなし仕入率」と課税売上高を使って仕入分の消費税を計算し、売上分の消費税から差し引く「簡易課税方式」を選択していましたが、設備投資などで仕入れの額が大きい年度は売上分の消費税額から実際の仕入分の消費税額を差し引く「原則課税方式」の方が〝お得〟であり、年度開始前に「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出して原則課税方式に切り替える必要がありました。しかし税理士が届出を失念してしまい、本来であれば納める必要のない税額を支払うはめになってしまいました。

 ふるさと納税で〝損〟をしてしまった人もいます。ふるさと納税は、自治体に寄付をすることにより、住んでいる場所で納める所得税や住民税で控除を受けられる制度で、思い入れのある土地を応援できることに加えて、寄付に対して自治体から贈られる返礼品の豊富さが人気を集めています。Bさんは自己負担額2千円を除いた全額が所得税や住民税から控除される上限につき、税理士から上限を250万円と聞かされ、その範囲で寄付をして返礼品を受け取りました。しかし、本来の上限はそれよりも低く、超えた分は単なる寄付になってしまい、税メリットを受けられなかったそうです。

 相続税額の計算上、L字や三角形などの土地(不整形地)は宅地としての使い勝手が悪いため、正方形や長方形などの整形地と比べて評価額が下がります。しかしCさんが依頼した税理士は、不整形地の評価額を下げずに申告。Cさんに指摘されて初めて評価減制度を使っていないことに気づいたとのことです。
<情報提供:エヌピー通信社>