日本税理士会連合会(以下:日税連)は、会長の諮問機関である税制審議会において、毎年度1年間かけて税制上の諸問題を検討し、その結果を報告しております。
 納税者の代理人としてプロの立場から税制の見直しを行っていますが、2016年度は「償却資産に係る固定資産税制度のあり方について」を同審議会に対し、諮問しました。

 それによりますと、企業が保有する事業用の償却資産に係る固定資産税制度は、シャウプ勧告に基づき1950年に創設されたものであり、市町村の行政サービスに対する応益課税であるといわれております。
その税収規模は約1兆6,000億円となっており、与党の「2016年度税制改正大綱」では、「固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることに鑑み、償却資産に対する固定資産税の制度は堅持する」とされております。
 一方、償却資産に対する課税は、企業の設備投資の阻害要因になること、製造業などの設備投資型の業種に税負担が偏っていることなど課題が挙がっております。

 さらに、償却資産を活用して得られる所得に係る事業税や住民税との重複課税になること、諸外国の税制をみると償却資産に対して固定資産税を課税している国はほとんど見当たらないことといった観点から、制度そのものを縮小又は廃止すべきであるという意見もあります。
 実務の観点からは、償却資産の評価方法について、残存価額の有無、特別償却や少額減価償却資産の取扱いなどの点で法人税や所得税における減価償却制度と齟齬があり、法人の決算期に関係なく賦課期日と申告期限が定められているため、企業に煩瑣な申告事務を強いております。

 また、課税範囲については、家屋と償却資産の区分判定が困難な場合や、登記制度のある土地等と異なり課税客体の捕捉が不完全などの問題も指摘されております。
 そこで、日税連では、現行の償却資産に係る固定資産税制度について、免税点や税率水準のあり方などを含め、中小企業の事務負担を踏まえて総合的に検討するよう、税制審議会に諮問しました。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、平成28年12月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。