一定以上の資産を持つ富裕層に特化して海外資産の把握や税務調査を行う「富裕層プロジェクトチーム」を、国税当局は全国に拡大するようです。現在は富裕層が多く住む東京・大阪・名古屋の3国税局にしか設置されていませんが、来年7月からは全国の国税局への設置を検討しているとのことです。

 IT化や国際取引の多様化によって富裕層の資産状態の把握が難しくなっていることを受け、国税当局は一昨年、東京・大阪・名古屋の各国税局に、「重点管理富裕層プロジェクトチーム」を設置しました。富裕層の国外も含めた資産状態や移転手法の実態などの情報を集約するもので、対象となるのはおおよそ保有する金融資産が1億円以上の納税者と言われ、本人のみならず関係者や主宰法人、関連法人など、プロジェクトチームのターゲットは広く設定されています。

 10月に国税庁が発表した「国際戦略トータルプラン」によれば、国税当局は、来年7月に始まる事務年度からプロジェクトチームを全国的に実施する方向で検討を進めています。さらにチーム以外にも、複雑・高度化するさまざまな節税金融商品の解析のため、弁護士や金融期間出身者などの専門家の採用を進めるほか、国際課税に関する対応策の検討、指導や監督など、国際課税分野の〝司令塔〟の役割を担う「国税庁国際課税企画官」なる新設ポストの導入を求めているそうです。

 タックス・ヘイブン(租税回避地)を利用していた顧客のリスト「パナマ文書」の流出などにより、海外に財産を移して税逃れを図る富裕層への視線は国際的に厳しくなる一方です。日本の国税当局も、各国との情報交換制度を推し進めるなど、あらゆる面から富裕層の動向を監視する傾向を強めています。
<情報提供:エヌピー通信社>