中小企業等経営強化法(7月1日施行)には、企業が生産性を高めるために必要とする金銭的負担を緩和する施策がいくつか盛り込まれています。目玉は、中小企業が新たに取得する機械装置の固定資産税が3年間50%に減額される措置。経済産業省によると、設備投資の固定資産税減税は「史上初」とのこと。法人税の軽減措置と異なり、赤字企業にも効果があることが大きな特徴です。しかし、今回の固定資産減税を国の大盤振る舞いと喜ぶのは早計にすぎるようです。

 全国15税理士会で構成される日本税理士会連合会(神津信一会長)は、事業用の償却資産の固定資産税(償却資産税)に疑問を抱いています。神津会長は会長の諮問機関である税制審議会(金子宏会長)に、会社の償却資産税のあり方に関する諮問をしたのです。

 日税連が問題として挙げるのは、会社の設備投資を阻害している点。今回の固定資産税減税の目的は設備投資の促進ですが、固定資産税自体が投資意欲を減退させているとしてさらなる税負担の縮小や廃止の必要性を示唆しています。

 日税連はこのほか、製造業など設備投資型の業種に税負担が偏っていること、その資産で得られる所得への事業税や住民税との重複課税となること、同様の税金を課税している国はほとんどないことを挙げています。実務面では、家屋と償却資産の区分や、会社の決算期に関係なく申告期限が来ることによる煩雑な事務負担も問題であるとしています。

 昨年末に公表された平成28年度税制改正大綱では、「市町村財政を支える安定した基幹税であることに鑑み、償却資産に対する固定資産税の制度は堅持する」と明記されています。財政面重視の記述ですが、中小企業に余分な負担を強いることにかんがみれば、さらなる見直しは必要でしょう。
<情報提供:エヌピー通信社>